東京大学大学院薬学系研究科
機能病態学教室

Neuropathology and Neuroscience

アルツハイマー病、パーキンソン病、自閉症など
神経精神疾患の病態解明から治療・診断薬開発へ、
そして同時に新しい基礎研究分野を切り拓く

News & Topics

研究室について

私達は主に生化学と分子生物学を用いて、培養細胞と動物モデルの両面から分子・細胞病態研究を進め、新しい技術と新しい創薬標的を同定し、治療薬開発へつながる成果を世界に発信すると同時に、基礎生物学研究に新たな展開を与えることを目標としています。また産学との共同研究を積極的に進め、研究成果の社会実装を目指しています。

研究内容についてはResearchをご覧ください。また薬学部3年生向けの教室紹介スライドをAbout Usに掲載しています。

社会連携講座「脳神経疾患治療学」(講座担当:富田泰輔教授(兼務))を2017年7月1日に開設し、バイオジェン・ジャパン株式会社との共同研究を開始しました(2022年6月31日終了)。本研究科における最先端の学術的知見と、バイオジェンが培ってきた脳神経疾患治療法の研究開発技術を融合し、画期的な創薬研究に繋げることを目的として研究を進めました。

「キミの東大 高校生・受験生が東京大学をもっと知るためのサイト」に当教室の探訪記事が掲載されました。詳細はこちらを御覧覧ください。

篤志家の皆様へのご寄附のお願いについてはこちらを御覧ください。

2022.10.12

ISMND2022において、高鳥翔助教がPoster presentation awardを受賞しました!

2022.9.22

東京大学大学院学位記授与式(秋季)が挙行されました。当教室からは博士課程1名が卒業しました。おめでとうございます!

2022.9.16

長井元大学院生、徐大学院生、伊藤大学院生、梶原大学院生、伊藤元特任講師による論文"The atypical Rab GTPase associated with Parkinson’s disease, Rab29, is localized to membranes"がアクセプトされました!

2022.9.12

東京大学広報誌「淡青」vol. 45 特集「素朴な疑問vs東大」に富田教授のインタビューが掲載されました。

2022.8.30

堀由起子准教授によるコメンタリー"Promotion in the Clearance of Aggregated Aβ in vivo using Amyloid Selective Photo-Oxygenation Technology"が出版されました。

2022.8.20

第27回日本病態プロテアーゼ学会学術集会において、横山雅シャラ大学院生がYoung investigator awardを受賞しました。

2022.8.1

木村妙子さんが特任助教として就任しました。

2022.7.1

富田泰輔教授が新藏礼子先生(定量研)、合田圭介先生(理学系研究科)と出演した東大TV「東大×知の巨人たちの雑談」の公開が始まりました。毎週1本ずつ、全11本公開予定です。

2022.6.31

2017年7月1日にバイオジェン・ジャパン株式会社との共同研究に基づき開設された社会連携講座「脳神経疾患治療学」が終了しました。5年間に渡る共同研究成果については、今後更に昇華させるべく、双方で研究を進めていきます。本社会連携講座の運営および活動にあたってご協力いただいた皆様に深く感謝致します。

2022.6.18

井口明優大学院生が、第21回東京生命科学シンポジウムBIO UTで優秀ポスター賞を受賞しました。

2022.6.18

池田哲生大学院生が、2022年度日本生化学会関東支部例会で優秀発表賞を受賞しました。

2022.6.9

堀由起子准教授、富田泰輔教授と、金井求教授(当研究科有機合成化学教室)、相馬洋平教授(和歌山県立医大)、鳥居慎一CEO(バーミリオン・セラピューティックス社)の研究チームが、「第35回独創性を拓く 先端技術大賞」社会人部門特別賞を受賞しました!

2022.5.31

富澤郁美大学院生、中川葉奈子大学院生、堀由起子准教授による総説"Photo-oxygenation as a new therapeutic strategy for neurodegenerative proteinopathies by enhancing the clearance of amyloid proteins"がアクセプトされました。

2022.4.23

当教室で進めている光認知症療法について、女性セブンで紹介されました。

2022.5.24

横山雅シャラ大学院生、小林穗乃可大学院生、巽理紗大学院生による総説"Mouse models of Alzheimer disease"がアクセプトされました。

2022.4.24

当教室で進めている光認知症療法について、医薬通信社および細胞.jpのコラム「研究・開発の窓」に取り上げていただきました。

2022.4.23

当教室で進めている光認知症療法について、週刊現代で紹介されました。

2022.4.16

光認知症療法の実用化にむけた開発事業について、クラウドファンディングREADYFORでプロジェクトを公開しました。革新的な新薬の開発に向けて、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2022.4.1

2022年度、当教室に新たに8名の学生が増えました。引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めながら、神経変性疾患、精神疾患の理解につながる分子及び細胞病態研究、そして新しい基礎生物学の開拓を目指していきます。そして新たな治療モダリティの開発、予防法の創出に向けたリアルワールドデータの利活用などの取り組みを継続し、社会実装に向けていきたいと考えています。なお2021年度の出来事についてはこちらをご覧ください。

最近の研究から

2022年9月16日
新しい論文をJournal of Biological Chemistryに発表しました

Rab29は細胞内での小胞輸送の制御に関わる低分子量Gタンパク質Rabファミリーのひとつであり、パーキンソン病の発症リスクと関連することが知られています。Rab29がどのような小胞輸送を制御するかはよくわかっておらず、タンパク質としての性状もこれまでほとんど解析されていませんでした。そこで、今回細胞内におけるRab29の基本的な性状解析を行い、他のRabと比較しました。その結果、一般的なRabタンパク質は、生化学的な超遠心分画においてほとんどが細胞質画分に存在するのに対し、Rab29はほとんどが膜画分に存在することが明らかになりました。これは、Rabを膜から引き抜く役割をもつGDP-dissociation inhibitor(GDI)と呼ばれるタンパク質と結合しないことによると考えられました。教科書的にはGDIによる膜からの引き抜きはRabの活性制御において必要不可欠ななステップのひとつであることから、Rab29の制御機構は生物学的にも興味深いテーマといえます。Rab29は、別のパーキンソン病原因タンパク質であるleucine-rich repeat kinase 2(LRRK2)を活性化することも知られています。本研究で明らかにしたRab29の特異な膜局在性とLRRK2活性化能の関連について今後検討を進めることで、パーキンソン病の発症に至る分子メカニズムの解明につながることが期待されます。

2021年5月27日
新しい論文をJournal of Neuroscienceに発表しました

これまでの研究から、アミロイドβ(Aβ)代謝の破綻がアルツハイマー病(AD)の病態形成に影響を与えることが示されています。脳内Aβ代謝にはアストロサイトがAβ分解酵素を産生することで関与していますが、その詳細な制御メカニズムについては不明です。本研究では、ω3脂肪酸受容体であるGPR120のシグナルがアストロサイトのAβ分解活性を抑制することを見出しました。また、このメカニズムとして、GPR120シグナルがAβ分解酵素の1つであるMatrix metalloproteinase 14(MMP14)の活性を抑制することを明らかにしました。加えて、GPR120遮断薬の投与がADモデルマウス脳内のAβ量を顕著に減少させたことから、今後GPR120シグナルがADの新規創薬標的となることが期待されます。本研究成果は慶應義塾大学薬学部との共同研究として行われました。

2021年5月25日
新しい論文をHuman Molecular Geneticsに発表しました

Leucine-rich repeat kinase 2 (LRRK2)は家族性パーキンソン病の原因遺伝子として知られています。Lrrk2を欠損させたマウスの肺では層板小体と呼ばれるリソソーム関連オルガネラが肥大化することから、LRRK2は層板小体の形態や機能維持に関与することが示唆されています。しかし、その詳細な分子メカニズムは明らかでありません。本研究ではプロテオミクス解析により、野生型マウスとLrrk2欠損マウスの層板小体プロテオームを比較し、BORCS6がLRRK2の下流で層板小体の肥大化に関与することを明らかにしました。また、LRRK2-BORCS6経路が層板小体のエキソサイトーシスを制御することを示唆しました。本研究の成果は未だ明らかにされていない脳におけるLRRK2の機能解明につながることが期待されます。本研究成果はバイオジェン・ジャパンとの社会連携講座における共同研究成果です。

2021年4月14日
新しい論文をBrainに発表しました

アルツハイマー病(AD)の発症原因の一つとして、脳内にamyloid β peptide(Aβ)が凝集・蓄積することが挙げられます。我々はこれまで、東大薬有機合成化学教室の金井求教授、相馬洋平グループリーダーと共に、光刺激によって活性化される光酸素化触媒を開発し、Aβに対する選択的な酸素原子付加によって凝集を阻害する戦略を見出してきました。今回、ADモデルマウス脳内におけるAβの光酸素化に成功し、光酸素化による凝集抑制効果だけでなく、凝集Aβの分解・除去が亢進することを見出しました。また、光酸素化された凝集Aβの分解・除去機構に、脳内免疫担当細胞であるミクログリアが関与することも明らかにしました。AD患者脳由来のAβに対しても光酸素化が可能であることも見出しており、これらの研究成果は、今後、光酸素化触媒を用いたADに対する新規予防・治療戦略の提示に繋がることが期待されます。プレスリリースはこちら(英語版)こちら(日本語版)およびこちら(東大サイト)です。 紹介記事が日本の研究.com日刊工業新聞Med IT IechEurekAlert!Photonics.comScienceDailyFLORIDA News TimesIntresting Engineeering日経バイオテクに掲載されました。

2021年3月25日
新しい論文をScience Advancesに発表しました

アルツハイマー病(AD)発症の原因の一つとして、amyloid β peptide(Aβ)が異常に凝集してアミロイドを形成し、脳内に蓄積することが挙げられます。我々は、これまで東大薬有機合成化学教室の金井求教授、相馬洋平グループリーダーと共に、光によって活性化する光酸素化触媒を用いて、凝集したAβに対して酸素修飾を付加する手法を開発し、それによってAβの効率的な除去が可能であることを見出してきました。本研究では、この手法を治療法として応用するために、脳移行性の高い新たな触媒を開発し、触媒の静脈投与と頭蓋骨外からの光照射という非侵襲的な方法で、ADモデルマウス脳内の蓄積Aβに対して選択的に酸素を付加することに成功しました。この非侵襲的酸素化反応を長期間継続すると、ADモデルマウス脳内の蓄積Aβ量を減少できることも明らかにしました。この結果は、今後、画期的な新規AD治療法の創出に繋がることが期待されます。プレスリリースはこちらです。紹介記事が日本の研究.com日経バイオテクに掲載されました。

2020年9月1日
新しい論文をMolecular Autismに発表しました

Neuroliginはシナプスオーガナイザーとして知られる接着分子ファミリーであり、神経細胞間シナプスの形成や維持に関わっています。X染色体上に存在するNLGN4X遺伝子にコードされるNL4Xはヒト特異的なNeuroliginであり、自閉症患者や精神遅滞患者においてナンセンス変異が見いだされていることから、NL4Xによるシナプス形成能の低下がこれらの疾患発症メカニズムに関わることが示唆されています。一方、NLGN4X遺伝子上には様々なミスセンス変異も見いだされています。これらの変異がNL4Xの代謝と機能にどのような影響を及ぼすかについて体系的に解析し、小胞体におけるフォールディング異常を引き起こすタイプと、細胞表面膜上でのタンパク分解(シェディング)を亢進させるタイプの変異があることを見出しました。そしてそれぞれフォールディングを回復させる薬剤や、シェディング阻害剤によってNL4Xのシナプス形成能が回復することを見出し、自閉症や精神遅滞の治療における遺伝子型診断に基づいた精密医療の可能性を提示しました。本研究は当研究科産学連携共同研究室(塩野義)と、慶應大学医学部との共同研究で行われました。

2020年4月20日
新しい論文をFASEB Journalに発表しました

アルツハイマー病(AD)に特徴的な病理学的所見として、アミロイドβペプチド(Aβ)の異常な脳内蓄積が挙げられます。Aβは、前駆体タンパク質APPからβとγセクレターゼによって二段階の切断をうけ産生されます。Aβの凝集・蓄積はAD発症の最初期に生じ、続いて神経細胞内にタウの凝集・蓄積を引き起こして神経変性に至ることが示唆されています。しかしその最初期過程であるAβ産生に関する詳細なメカニズムは未だ明らかになっておらず、根本的治療法も確立されていません。本研究では、ゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9システムを用いて、Aβ産生制御に関わる新規分子calcium and integrin-binding protein 1(CIB1)の同定とその産生制御メカニズムを明らかにしました。CIB1の欠損によりAβ産生が上昇しました。またCIB1発現量の減少は、γセクレターゼの総量には影響を与えない一方で、γセクレターゼの細胞表面膜の存在量を減少させました。当研究室の先行研究から、γセクレターゼの細胞内局在部位によってAβ産生量が変動することがわかっています。すなわち本研究は、CIB1発現量の減少によってγセクレターゼの内在化が亢進することでAβ産生が増加すると考えられます。さらに初期AD患者脳においてCIB1発現量の低下が認められました。このことは、初期に起きたCIB1の変容がAD発症に寄与することを示唆していると考えられます。 今後、このCIB1を標的とした新たなAD治療・予防戦略の提示、早期診断法の開発に繋がることが期待されます。本研究は新潟大学脳研究所との共同研究で行われました。プレスリリースはこちらこちらです。紹介記事が日本の研究.com日経新聞ウェブサイトQLife ProBioSpaceScienceDailyMedical XpressUsAgainstAlzheimer'sサイトCitizenSide(フランス語サイト)に掲載されました。

その他の研究成果についてはこちらへ!